北九州市小倉南区のファストフード店で市立中3年の男女2人(ともに15歳)が男に刺され、女子生徒が死亡した事件で逮捕されたのは、厳戒態勢が続く周辺地域の住民だった。発生から5日を経て急展開。福岡県警は19日、捜査員を住宅に突入させ、男子生徒に対する殺人未遂容疑で無職 平原 政徳容疑者(43)の身柄を取り押さえた。
「15歳の将来ある中学生を巻き込んだ卑劣な犯罪。一日も早く捕まえないといけないという思いだった」。19日昼、捜査本部が置かれた同区の県警小倉南署で開いた記者会見で、橋本浩輔捜査1課長は強調した。女子生徒に対する殺人容疑についても、捜査を進める意向を示した。
県警は14日夜の発生時から約100人の捜査員を投入。周囲の防犯カメラとドライブレコーダーなど百数十台の解析を中心に逃走した男の行方を追った。防犯カメラ映像などを頼りに浮上したのが、現場から約1キロに住む平原容疑者だった。17日頃から行動確認を続け、18日に逮捕状を請求した。
19日午前、逮捕状執行のため、県警捜査1課の捜査員約20人が、平原容疑者が1人で暮らす2階建て一軒家の自宅を囲んだ。立てこもり事件などで対応する防刃服を着た同課特殊事件係も投入した。
平原容疑者は呼びかけても玄関を開けなかったため、捜査員は1階の掃き出し窓など2か所を割って踏み込んだ。1階居間の椅子に座っていた平原容疑者は抵抗せずに取り押さえられ、平然とした様子で調べに応じ、男子生徒に対する殺人未遂容疑を認めたという。
近くにいた建設作業員の男性2人(30、40歳代)によると、ガラスが割れる音がした後、「確保!」という声が聞こえたという。