埼玉県内で進められていた大規模な新病院の計画が突然中止となりました。地元からは落胆と怒りの声が相次ぎ波紋が広がっています。
■800床の大規模な総合病院になる予定だった
建設予定地の近くに住む人
「楽しみにしていたんですけど。希望がなくなった」
建設予定地の近くに住む人
「子どもがいるので、近くに病院ができたらうれしかったですけど。なくなっちゃうとなるとね、悲しいかなと」
埼玉県内で予定されていた、順天堂大学の新病院建設計画。建設予定地は埼玉スタジアムの近くで、埼玉高速鉄道・浦和美園駅から徒歩圏内にあるおよそ7.7ヘクタールの広大な公有地です。
2015年、県の公募に大学側が応じる形で計画されたもので、救急救命センターなどが設置されるベッド数800の大規模な総合病院になる予定でした。
清水勇人さいたま市長(8月)
「実現すれば、医療提供体制が強化されることにもなる。浦和美園のまちづくりに寄与する公益的な事業という認識をしている」
埼玉県は人口10万人に対し医師の数が180.2人と全国で最も少なく、医療施設の拡充が長年求められてきました。
当初2021年に開院予定でしたが、コロナ禍などで何度も先送りに。そして、先月29日…。
■建設費の高騰 事業費834億円が2186億円に…
順天堂大学 代田浩之学長(朝日新聞による)
「学内を挙げて検討したが、実現に持っていくことは困難となった」
順天堂大学の代田学長らが埼玉県庁を訪れ、大野知事に計画中止を報告しました。
中止の理由の一つは「建設費の高騰」です。
834億円と見込んでいた総事業費は、およそ2.6倍の2186億円にまで膨らんでしまいました。
突然の計画中止にショックを隠せないのは、住民だけではありません。
小島信昭埼玉県議
「腹が立ったということですよね 」
小島県議は、立ち上げ当初から計画に関わってきましたが、中止に関する相談は受けていなかったといいます。
小島県議
「都合がいいところだけご相談いただいて、そして都合が悪くなると、何のご相談もなくなるというようなことが繰り返されていたので」
計画が白紙になった広大な土地には、別の施設を期待する声も聞かれました。
建設予定地の近くに住む人
「個人的には、コストコとか業務スーパーとか来てくれるといいな」
今後の土地の利用については、現時点では未定だということです。